比企起業大学・大学院 総長の関根です。
24年3月~4月にかけて、比企大 卒業生・在校生 41名が回答してくれたアンケート結果を、統計分析にかけました。
(統計分析に強い大学教員の増田さん(比企大23秋)にご支援頂きました。ありがとうございます!)
その結果を、ご報告します。
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回答内容に欠損があるものを削除して、最終的に、29名分の回答を用いて、パス解析を行いました。(すべてのパスが、0.1%~10%水準で有意)
増田さんのお力を借りながら、解説を加えていきます。
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1.比企大での学習結果と年商との関係
Q. あなたは、比企起業大学で学んだことを・・・
①活用して「良い結果」が出た ②活用したが、まだ結果が出ていない ③まだ活用していない
●比企大での学習結果:
「学んだことを活用して、良い結果が出た」と回答している人の割合は58%だった。一方で、「活用したが、まだ結果が出ていない」という人の割合は15%であった。また、「まだ活用していない」という人は27%いた。
●年商:
次に、アンケート回答者の年商の分布を確認すると、100万円未満が34%でもっとも多かった。次に、100万~300万円と300万~500万円で17%であった。500万~1000万円は10%で、1000万円以上は12%であった。
学習結果と年商との関係を見るために、「学んだことを活用して、良い結果が出た」と回答した人を1、「活用したが、まだ結果が出ていない」と回答した人を0として、そして年商を以下の通りランク付けした。
1:100万円未満
2:100万~300万円
3:300万~500万円
4:500万~1000万円
5:1000万円以上
その結果、推定値は1.333であった(比企起業大学IRアンケート分析結果(パス解析)参照)。このことから、「学んだことを活用して、良い結果が出た」と回答している人は、「活用したが、まだ結果が出ていない」という人に比べて、「年商」のランクが1.333高くなることがわかった。
つまり、「活用したが、まだ結果が出ていない人」が、結果がでるようになると、年商が、1.333ランク上がるということである。
例:年商が、ランク2:100万~300万円だった人は、ランク3.333:300万~500万円に上がる。
○比企起業大学で学んだことを活用し「良い結果」が出せるようになると、年商が上がる!
(「良い結果」の例は、回答者のフリーコメントを参照)
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2.年商と起業満足度との関係
Q. あなたは、現在の起業活動について、どの程度満足していますか?
●起業満足度:
「大変満足している」が15%、「満足している」が39%で、合わせると起業に満足している人の割合が54%と高かった。一方で、「満足していない」が12%、「まったく満足していない」が10%で、合わせると22%の人が起業に満足していないことがわかった。その中間である「どちらともいえない」は24%であった。
次に、年商と起業満足度の関係を見るために、起業満足度の高いほうから5段階でランク付けした。その結果、年商が、1ランク上がると、起業満足度が、0.194ランク上がることがわかった。
例:年商が、ランク2:100万~300万円だった人が、ランク3:300万~500万円に上がると、起業満足度が、3だった人は、3.194に上がる。
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3.健康満足度と起業満足度との関係
Q. あなたは、ご自身の心身の健康状態について、どの程度満足していますか?
●健康満足度:
「大変満足している」が32%、「満足している」が47%で、合わせると満足している人の割合が79%と大部分を占めた。一方で、「満足していない」が15%、「まったく満足していない」は0%であった。その中間である「どちらともいえない」の割合は12%であった。
次に、健康満足度と起業満足度の関係を見るために、健康満足度の高いほうから5段階でランク付けした。その結果、健康満足度が、1ランク上がると、起業満足度が、0.764ランク上がることがわかった。
例:健康満足度3だった人(どちらともいえない)が、4(満足している)に上がると、起業満足度3だった人が、3.764に上がる。
○今回の分析では、「起業満足度」に対する影響を「年商」と「健康満足度」の2つで行っているが、どちらの影響が強いのだろうか。これらを比較するために標準化された推定値(比企起業大学IRアンケート分析結果(パス解析))を見てみると、「年商」が0.253であるのに対して、「健康満足度」は0.764であるため、健康満足度の影響のほうが高いことがわかる。つまり、お金を稼ぐことも大事だが、それよりも、自身が健康でいることのほうが、起業満足度に繋がっている。
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4.起業満足度と家族の満足度との関係
Q. 家族は、あなたの起業活動に対して、どの程度満足していると思いますか?
●家族満足度:
「大変満足している」が12%、「満足している」が37%で、合わせると満足している人の割合が49%と約半分を占めた。一方で、「満足していない」が12%、「まったく満足していない」は0%であった。その中間である「どちらともいえない」の割合がもっとも高く39%であった。
次に、起業満足度と家族の満足度の関係を見るために、家族の満足度の高いほうから5段階でランク付けした。その結果、起業満足度が、1ランク上がると、家族の満足度が0.515ランク上がることがわかった。
例:起業満足度が、3だった人(どちらともいえない)が、4(満足している)に上がると、家族の満足度が3だった人は、3.515に上がる。
○本人が、起業に満足していると、家族も満足する。(標準化係数の推定値も0.668と高い)
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5.家族の満足度と人生満足度との関係
Q. あなたは、あなたの人生に対して、どの程度満足していますか?
●人生満足度:
「大変満足している」が24%、「満足している」が49%で、合わせると満足している人の割合が73%と多数を占めた。一方で、「満足していない」が10%、「まったく満足していない」は2%であった。その中間である「どちらともいえない」の割合は15%であった。
次に、家族の満足度と人生満足度の関係を見るために、人生満足度の高いほうから5段階でランク付けした。その結果、家族の満足度が、1ランク上がると、人生満足度が0.304ランク上がることがわかった。
例:家族の満足度が3(どちらとも言えない)から、4(満足している)に上がると、人生満足度が3だった人は、3.304に上がる。
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6.家族とのかかわり満足度と人生満足度との関係
Q. あなたは、家族とのかかわりについて、どの程度満足していますか?
●家族との関わり満足度:
「大変満足している」が39%、「満足している」が37%で、合わせると満足している人の割合が76%と多数を占めた。一方で、「満足していない」が5%、「まったく満足していない」は0%であった。その中間である「どちらともいえない」の割合は19%であった。
次に、家族との関わり満足度と人生満足度の関係を見るために、家族との関わり満足度の高いほうから5段階でランク付けした。その結果、家族の満足度が、1ランク上がると、人生満足度が0.622ランク上がることがわかった。
例:家族とのかかわり満足度が3(どちらともいえない)だった人が、4(満足している)に上がると、人生満足度3だった人は、3.622に上がる。
○家族が満足してくれていることと、本人が家族とのかかわりに満足することが、本人の人生満足度に影響している。家族と人生満足度の関係の深さを示していると言えそう。
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7.まとめ
比企大 卒業生・在校生のアンケート回答結果を、パス解析にかけた所、次のようなつながりが見えてきました。
・まずは、比企大で学んだことを活用し「良い結果」を出すこと。
・そうすると、「年商」が上がる。
・「年商」と「健康満足度」が上がると、「起業満足度」も上がる。
・「起業満足度」は、「家族の満足度」にもつながっている。
・「家族の満足度」と「家族とのかかわり満足度」が上がると、「人生満足度」が上がる。
・まずは、Work(働く)の領域で、頑張る(比企大で学んだことを活用し、年商を上げ、自身の健康管理にも気を付ける)こと。
・それが、Family(家族)の領域で、家族の満足度を上げることにつながる。もちろん、「家族とのかかわり」を自ら取ろうとすることも大事。
・それが、Happy Life(幸せな人生)にもつながっていく。
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比企大の皆さんのアンケート回答結果から、非常に貴重な知見を得ることができました。どうもありがとうございました。
(分析をご支援下さった増田さん、ありがとうございます!)
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●動画での説明: