比企起業大学院の前身である、比企起業塾は現在第4期を開講中(2021年2月現在)。
計20名が参加し、うち12名がミニ起業家としてご活躍されています。
先輩たちがどんな思いで起業の世界に飛び込み、何を学び、今にどう生かしているのか。
先輩起業家インタビューではそれぞれのリアルな声をお届けしていきます。
自己紹介
久保田ナオと申します。
出身は福岡県で、2015年に比企郡の滑川町に引っ越してきました。
現在の仕事は2つです。1つは比企群でアートディレクターとしてブランディングやロゴのデザインといった、デザインのお仕事をしています。
もう1つが都内の会社向けのグラフィックレコーダーです。セミナーやカンファレンスの内容をリアルタイムで図や絵を用いて記録しています。
屋号は”やわらかく”で、情報や世界観をやわらかく伝わりやすい形に見える化するのが2つの仕事に共通する、私の提供する価値です。
移住する前のキャリアとして、2007年に美術大学を卒業後7年くらい都内のデザインの会社やメーカーでデザイナーとして働いていました。
出産を機に仕事を退職し、住むところが自由になったので、子育て支援がすごく手厚い滑川町に引っ越してきました。
滑川町でも会社員のデザイナーの求人を探したんですけど全然、ゼロに近いぐらい見つからなくって。子どもを育てながらフリーランスとしてデザイナーの続きを1人で始めました。
起業のきっかけ
起業を考えたきっかけは、この辺りでデザイナーの求人がなかったこと、川越近辺で見つけたけど時短勤務という条件は叶わなかったことが挙げられます。そんな中で都内で仕事をしている友達から、仕事をおすそ分けしてもらっていたので引き受けてフリーランスになりました。
起業経験がある中で比企起業塾に入った理由
再びフリーランスにはなりたいけど、仕事をコンスタントにもらえるか心配だったからです。
比企起業塾に入ったのは子どもが1歳と3歳の時でした。フリーランスで保育園に応募したら、在宅ワークだと保育の必要性が薄いと判断されて待機児童に回されてしまいました。保育園に入れるように、派遣社員でデザイナーとして働きに出ていました。
その時はフルタイムで昼間は働いて、家に帰ったら1歳と3歳の子どもの相手をして、お風呂も入れて20~21時に寝かしつけて、また次の日早起きして…っていうのがものすごくしんどくて。
当時夜ご飯で宅配弁当を食べてたんですけど、忙しすぎてお弁当がのどを通らなくなってしまったんです。ちょっとこれはやばい、この働き方は続けられないって状況でした。
でも派遣社員として安定した収入を手にしてしまったので、早くフリーランスに戻りたいけど、仕事を安定的にもらえるのかって不安があったんですね。
そんな時に比企起業塾の案内をスマホで見つけて、これはいいと思ってすぐに説明会に申し込みました。
起業塾で学んだこと
比企起業塾で得たものので、一番役立っているのは戦略的な思考です。
デザイナーとして仕事をしていて思うのですが、デザインの技術は仕事をしていれば身につくんですね。学校でも学べます。ただ、戦略的な考え方、将来を見据えた自分の身の振り方は、今まで美術大学でも会社でも教わってこなかったです。
それを起業塾で学んですごく仕事がしやすくなりました。ただ下請けになるわけじゃなく、自分の意思をもって仕事を選んで創造できるようになりました。
入塾前・入塾後の働き方の変化
入塾前は、自分のやりたいことと合致しているから仕事を受注するわけではなかったんです。起業塾に入った後は、志が同じ人と仕事を一緒に作ったり、時には取りに行くようになりました。比企の子供たちが自分の地域を自慢できるようにする、という私のビジョンに合う仕事を選んでいます。
ただ、入塾後もいっぱい失敗を重ねました。最初から収入としては満足がいく位いただいていましたが、初年度はいただいたお仕事は断ったら失礼と思って全部引き受けていたんですね。すると、土日も仕事に行ったり、朝早くから夜遅くまで仕事したりと、かなり長時間働いて、子どもと旦那さんにご迷惑をかけてしまいました。
2年目3年目で夫婦で話し合いを重ねてワークライフバランスを調整して、4年目の今、ようやく仕事内容や働き方のバランスが整ってきました。
ときがわ町内で生まれた仕事
もう既にインタビュー動画がアップされている、野あそび夫婦さんのキャンプ民泊NONIWAのロゴのデザインをさせていただきました。
他にも、福島だいすけさんの卵ブランド、天空の卵のパッケージデザインもさせてもらいました。
こういう自分と志の近い人と仕事をする楽しさを知ってしまうと、もう前の働き方には戻れないです。やりがいがすごく大きいです。
仕事をする上で意識していること
エンドユーザーの気持ちを忘れないことです。
デザイナーが直接やり取りするクライアントというお客さんの先に、クライアントが販売した商品を手に取るエンドユーザーがいます。デザインを作るときはクライアントの要望を聞いて、思い通りのものを作るんだと考えがちです。でも私たちが見なきゃいけないのは圧倒的にエンドユーザーなんですね。
なので、エンドユーザーが置いてけぼりになっていないかは常に意識しています。
営業活動について
クリエイターって自分が作って発表した仕事が次の仕事を連れてきてくれるんですね。なので、こちらから特定の方に向けて営業をするのではなく、手がけた仕事をSNSで丁寧に紹介すると、お声がけくださる方がいらっしゃいます。
一度私が手掛けた仕事を見て、同じような感じでお願いしたいと依頼されるので、全然テイストが違う仕事が来ることはあまりないです。
具体的には打ち合わせの時に渡した資料や、もらったフィードバックをTwitterでリアルタイムに投稿しています。そういった発信からラフのイメージ、出来上がるまでの期間など、私の仕事の進め方が伝わっているのだと思います。
比企起業大学をおすすめしたい人
まず、フリーランスのクリエイターになりたい人、今会社員でクリエイターしている人です。
先程もお伝えした通り、起業塾に入って戦略的思考を学べました。クリエイターの方ってスキルは既に習得されているんですけど、それだけだと独立は叶わないんですよね。
フリーになるうえで、スキルだけでは足りない武器を学べます。
次におすすめしたいのが子育て中の人です。私もそうだったんですけど、子育て中は家族を支えなきゃいけないだとか、時間の制約があって、独身の時みたく自分の思った通りに身動きが取れないんですよね。
そういった苦しい状況をどう打開したらいいのかわからない人はすごく多いと思います。起業塾には同じように子育てで行き詰った経験のある先輩がたくさんいます。ですので、背中をもう、すごいバーンって(笑)押してくれます。もやもやしてる子育て中の人は来たらすごいスッキリして、いい笑顔になれるんじゃないかなと思います。
久保田さんにとっての起業塾とは
代えがたい場所です。
総長の関根さんは、比企起業塾では起業家マインドを学べると仰っています。みんながそういうマインドを体にしみこませているので、話がすごくスムーズにいくというか、同じノリで付き合えるというか。すごく安心できる人の集まりだなと思っています。
それに加えて、実際に起業塾の卒塾生同士で仕事の受発注がすごく頻繁に行われています。仕事を比企地域で仕事したいなら、ここに来たら何かしら自分のスキルを発揮できる場所があります。
居心地の良さ+実際仕事につながる出会いがあるいう意味で、代えがたい場所だと思います。