菅沼朋香さん

比企起業大学院の前身である、比企起業塾は現在第4期を開講中(2021年2月現在)。
計20名が参加し、うち12名がミニ起業家としてご活躍されています。

先輩たちがどんな思いで起業の世界に飛び込み、何を学び、今にどう生かしているのか。

先輩起業家インタビューではそれぞれのリアルな声をお届けしていきます。

今回は比企起業塾の2期生の菅沼朋香さんにお話を聞いてまいりました。

自己紹介

菅沼朋香と申します。

私は現代美術のアーティストをしています。2017年に東京芸術大学の先端芸術表現科大学院を卒業しました。そのころ、芸大の建築家でニュータウンの再生を研究してる藤村龍至さんという方にちょっとスカウトされちゃいまして(笑)

それでここ鳩山ニュータウンに移住をしてきました。

移住してからはまちおこしとアートプロジェクトとして、ニュー喫茶幻や、空家スイーツプロジェクトをやっています。

起業に対してどんなイメージがありましたか?

藤村さんに出会う前からフリーランスになって場所関係なく仕事ができる人間になりたいなと思ってたんですよね。

なんかぼんやり自分で仕事が作れるようになりたい、できたらネットで仕事をしたいなっていうのが入口でした。

比企起業塾に入塾したきっかけは何ですか?

※比企起業塾は2021年から比企起業大学院に名称が変わり、比企起業大学が新設されました。

周りの起業塾卒業生の方がすごくおすすめをされていたからです。

ちょうど比企起業塾の入塾募集がされているとき、ニュー喫茶幻のクラウドファンディングをして、飲食店の営業許可を取るための準備を進めていてました。これからお店をオープンしていく段階だったんです

でも幻がオープンしたら店舗経営ってことになるじゃないですか。要約すると。でも、そんなことやったことないし、どうすればいいか全然わかんなくて。

加えて、周りの期待と自分が目指しているものをうまく結びつけることができずにいました。

お店がない地域なので、周り近所の方々からは”何かお店ができるんだって。喫茶店かBarか!”
”ランチやるの?”みたいな声をいただいていました。純粋に飲食店ができることへの期待が高まっていたんです。

一方で私は、ニュー喫茶幻を地域の人を巻き込んで、人が関わることでそれをまたアートプロジェクトとしていきたい気持ちがあって、周囲が抱くイメージとのギャップにどう折り合いをつけるべきかわからず途方に暮れていました。

そんな中で起業塾を教えてもらったので、行ってみよう!って思ったんです。

実際に入塾してみてどんなことを学びましたか?

起業塾にお世話になったおかげで、人の巻き込み方をビジネスでどう使うかがちょっとつかめました。

これはビジネスだけでなくて、アートプロジェクトにも応用できています。私は町の人を巻き込むことも作品の一部としたいところがあるので。

最初は本当に暗中模索な状態で”お店って…一体どうしよう??”みたいな状態だったので、起業塾で学んだことが自分のアートプロジェクトに役立つとは思ってもいませんでした。

ニュー喫茶幻を運営していく過程でどのような試行錯誤がありましたか?

自分の中でやりたいことをビジネスという枠の中でどう実現するのか目標を見つめなおして、そこに向かうためにお店の営業方法とコンテンツの改良を続けていきました。

ニュー喫茶幻ではBar営業やモーニングなどを試したのですが、すぐには成功しませんでした。

駐車場もないし、交通の便も良くないので、お酒を飲んだ人が帰りにくい立地で…色々色々、悩みがたくさんありました。

でも、その都度ここはどういう目的でオープンしていて、どのようなお客さんをターゲットにした運営するのかを考えていきました。

その結果、どういう営業スタイルになったのでしょうか?

ニュー喫茶幻はお客さんを絞って営業していくスタイルに切り替えていきました。

幻は家の一部を改装してカフェにしています。普通の民家なのでお店に見えず、入りにくい外観なんです。なので、一見さんや、誰でもかれでも集客するのには向いていません。

逆にいろんな方が誰でも入りやすい場所として、鳩山町コミュニティ・マルシェがあります。幻からほど近い鳩山町の移住・起業支援を目的とした施設で、私もコーディネーターとして関わらせていただいています。

マルシェで出会った中でもっと仲良くなりたい、おもしろそうだと思う方をニュー喫茶幻に招待しています。

そのほかにも起業家をゲストに招いて夜のバータイムでライブ配信をするなど、幻は深い関係性を作る場所、マルシェは一番広い間口にしています。

このような場所の使い分け、お客さんを絞る発想は、起業塾に行くまではなかったですね。

空家スイーツのターゲットはどんな人ですか?

空家スイーツは鳩山ニュータウンの空き家に実っている果物を使った焼き菓子です。アートと昭和レトロと地域再生が融合して出来上がったプロジェクトで、全国のアート・昭和レトロ好きはもちろんのこと、さらに元の方に買っていただくのが結構重要だと思っています。

というのも、空家スイーツは埼玉県内の方に、鳩山が元気な町ということを発信していく新しいユニークでかっこいいお土産を目指しているからです。

そのためにもまず、地元であるこの周辺地域の方を空家スイーツのお客さんとして増やしていけたらいいなと思っています。

空家スイーツは商品づくりそのものが顧客づくりになっていると思うのですが、お客さんを巻き込むためにどのようなことをしていますか。

まず、空家スイーツというアートプロジェクトにいつも関わってくれてる方、応援してくれてる方に向けて発信するためにクラウドファンディングから始めました。

 YouTube でアートプロジェクトの企画説明の動画をあげたりクラウドファンディングの記事を書いて、それをイベント形式で発信して周りの人に応援をしてもらえるようにしていきました。

商品開発の様子を私と焼き菓子作家の山本蓮理さんの二人でリアルに外部に伝えることを心がけてました。

例えばミーティングする時は、インスタライブやフェイスブックライブのコラボ機能を使って二人のミーティングを電話感覚でライブ配信でやっていました。

ほかにも、何か迷うことがあったら、お客さん候補である応援してくれてるフォロワーの方々にどっちがいいですか?何個入りがいいですか?どの色がいいですか?とか、SNSを使ってアンケートをとって、皆さんと開発段階から楽しんでコミュニケーション取るようにしていましたね。

でも発売開始したらガラッと変わって、SNSではなくリアルの場で生まれた口コミでの購入が増えていきました。

地元の方々ってそんなに SNS をやってなくて、びっくりするぐらいマルシェに置いてある商品を見て買ってくれています。

あと反響が大きかったのが新聞です。地元の皆さんがすごく購読率が高いみたいで、掲載されると新聞で見たってさらに口コミで広がっていきました。

ついには!ちょっと昨日テレビにも出ちゃったので、もうえらいこっちゃってぐらい反響をいただいた感じです。※取材日(2021年1月23日)

今は購入いただいた方に買って良かったなって思ってもらえるような商品を無事お届けできるように頑張りたいという一心です。

Youtubeの活用方法について

Youtubeはお客さんを増やすためにビジネスとしてやっています。

お客さんが何を望んでるかがデータですごい出ます。視聴時間や再生時間、コメントでどんな動画が見たいかリクエストをいただいたりとか。

本当にすっごく顧客の声が見やすいので、それに応えていく形になりますね。

でも、色々反省もしました。最初はあまりお客さんのデータに気づいてなくて、よく考えずとにかく毎日出そう、みたい時期もありました。そういう動画を出すのに慣れる期間を経て、今のスタイルに落ち着きました。

比企起業大学入塾に迷っている方に向けてのメッセージ

やりたいことが明確でない人のほうがマネタイズ一直線に進められてむしろ進めやすいんじゃないかと思います。

でも正直お金にするにはお客さんに求められていることをやるのが一番早いので。

私みたいにやりたいこと決まってるけどめちゃくちゃマネタイズ難しいみたいな感じだと、もうすごい周り道になっちゃうじゃないですか。

だからまだやりたいことがバッチリ決まってないけど、自分で稼げるようなってみたい、みたいな方が起業大学に行ったら結構スッと成長があるんじゃないかなと思います。

菅沼さんにとっての比企起業塾とはどんな場所ですか。

そうですね、みんな学びに来てるので第一に”学び”って言葉が浮かびました。

あとは仲間ができたのもよかったなあと思います 。

学校って卒業して久しいじゃないですか。クラスメイトって無条件で同じ釜の飯みたいな感じで仲良くなれますが、大人になってからだとなかなかとないですよね。

比企起業塾の塾生は年齢・性別やってることみんな完全に違うけど、だけどみんな本当に同級生みたいな絆があって、比企起業大学でもそれは同じなんじゃないかなと思います。

仲間意識が芽生えるのは近年珍しい体験で、そういう点でも、比企起業塾に入って本当に良かったと思います。

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