比企起業大学 総長の関根です。
2021年5月28日の比企起業大学ゼミの後、21春学期生のコニーから、下記質問を頂きました。
① 人付き合いとお金の関係について (信頼貯蓄型利益モデルを例に)
先に価値を与える(無償)であとで利益が返ってくることを期待する信頼貯蓄型利益モデルについて、最近具体的に気になる事例があったので共有。 (中略)
「今までは無料で相談としてやってもらっていたのに講座になった。以前までは気軽に相談(世間話)できたのに、ちょっと距離を感じるようになった」という。
特に自分が気にするのは、そこで「無料でやっていたものからお金をとることへの変化」について。そういった部分にわだかまりや憤りなど、少しでも何か感じる部分がある人もいそうだと推測した。
加えて、有料になったサービスの参加者が、元は無料であった事実に対してどうふるまうか。
こういった無料と有料の人付き合いとお金の関係について、信頼貯蓄型利益モデルをどう扱っていけばいいのか、という疑問。
上記質問に対する回答を、大学院講師の林さん、栗原さんと共に、シュンポシオン形式(飲みながら真面目に話す)で行いました。(動画編集は、長女の合同会社maikkaさんが担当)
②価値の測り方について
どんな「技術」にどのような価値をつけるか、というのはより高等なスキルにおいて、それを測ること自体が難しくなるような印象がある。
例えば、「絵を描くこと」や「語学」はそれをイメージしやすい。できる人にとって、サラサラっとやってのけてしまうような印象もあり、その技術を見た人は「できる人にとっては簡単なこと」と認識されやすい。
一方で、「絵をかくこと」や「語学」を得るために、費やした(語学学校や美術学校にかかった費用)がないがしろになっているような、認識されづらいコストであるかも、という感覚がある。ひとつには、そのリテラシーの共有の課題で、そもそもそんなに技術を得ることに何かを費やしていることを知らないなど、価値が測られづらい(安く認識される)こともありそうと推測。
それを顧客に伝えたら、断られる・信用を失う・顧客になってもらえるチャンスを逃す、などの恐怖から(またはやさしさから)、請け負ってしまうことも多々あるが、そういったときに自分の価値を守るには、価値を伝えるにはどうしたらよいだろうか。その時の人付き合いが失われる等の問題に対して、どのように対峙していけばいいだろうか、という疑問。
【感想】
関根さんの動画で、関根さんは特に重視しているモデルに②信頼貯蓄型、③顧客密着型、⑤ブランド型の三つを挙げられていましたが、
個人的には、④引力増大型・参加した人がそれぞれ顧客を連れてくるーがまさに比企企業塾・大学/本屋ときがわ町で起こっていることのそれだなと思いました。
特に地域では経済の始まりが縮図のようで、ゴミ出しもそうですが、当たり前に起こっている事象をしっかり見つめなおすのって結構学びになりそうですね。そもそも「交換」という原理のような…。
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比企起業大学 講師の風間さんからも、下記回答を頂きました。ありがとうございます!
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いただいた質問について、私が考えたことを共有しますね。
① 人付き合いとお金の関係について (信頼貯蓄型利益モデルを例に)(前提となるポイント)
・相手がターゲットにしたいお客さんか
・その人からの信頼を得ているか
・有料に足る価値を提供できているかこれらが満たされているのであれば、相手は自ずと「ここまでやってくれてありがたい」と思う感情になるのではないかと思います。
もし無料でやっていた内容と同じこと、あるいはそれよりも質が落ちることが有料に変えるのだとすると、
逆にそれまで得ていた信頼を失いかねないのではないか。
当然、有料にするならば、それ相応の価値提供があって初めてつり合いがとれるのではないかと思います。
(最初から「●●まで期間限定で特別に無料で行います」と周知されていたのなら別ですが)
②価値の測り方について
・これも相手がターゲットにしたいお客さんかどうかにもよるのではないかと思います。
価値がわからない相手だと当然高いお金はとりづらくなるので、自分の知識・スキルに適切な価値を感じてもらえる人をターゲットにすることが考えられます。
・もう一つは、自分がどれだけ苦労しているかはお客さんには基本的には関係ないということ。
その上で、適切な価値を感じてもらえるかという上記の議論になるかと思います。
そのためには、情報発信において、自分がどうやってここまで来たか、なぜそれをやっているかに関するストーリー
を語ることも必要なのかもしれないと思いました。
③感想について
SNSのような影響力のある「口コミ」の手段が増えているので、お客さんが「シェアしたくなるか」は
すごく重要な要素だと思います。
特に地域での仕事を考えると、お客さんとの距離感が近いので、信頼が必要不可欠になるかと思います。
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コニー、いかがでしょう?
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●コニーからの返信
皆様、私の質問にお応えいただきありがとうございました!!動画まで!(しっかり拝聴しました。)
とても考えさせらました。いつも質問した時もそうですが、返ってくる答えが複数人で被るというのは、それが正解というわけではないけれど、何かしら皆同じ道を通ってきていて通じている本質のようなものをとらえているのだなと思います。かなり面白かったです。
今回の私の質問への応答でわかったこと(通じていたもの)は
①(価値が分かってくれる)つきあいたい顧客と付き合う。価値が分かってもらえない顧客とは付き合わないというスタンス
>「つきあいたくない客・つきあいたくない客」の話
②顧客側の目線にたって考えること(=自分の価値(宝)を如何に届けるか)です。学びでした。特に①はみな同じでなるほどでした。
②に関しては、おそらく自分がまだそこに立つ経験のなさはあると思い、ビジネスの基本的なところなのかなという印象で、恐縮ながら基礎から学ばせてもらっています。
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そしてやや蛇足で、これはもしかしたら(ビジネスにおいては)筋違いな深追いかもしれませんが…。
(関根):行政と違って全員に対して平等に接する必要がない という言葉でピンときたのですが、
おそらく二つの質問の根底に小西が感じていたのは、私の老婆心的な性格もあるのでしょう、「付き合いたくない客→付き合いたい客」にしてあげるにはどうしたらいいか、という他者への介入にやや興味がありそうです。そこまでする義理はないし、むしろそれは他人を変えられるという傲慢さ・愚かさすらあるというのは重々承知の上で、ちょっと実験的に考える面白さがあるなとも思います。
切り捨てない、価値がわからなかったからわかるまで教えるー共有する。果たして、それは「良い」ことなのでしょうか。ビジネスの粋を超えているような気がしますが、そういったことをたまに考えます。またとーっても時間が余った時にお酒の肴にしていただけると幸いです!
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●コニーへの関根からの返信
コニー、ありがとう!
「付き合いたくない客→付き合いたい客」にしてあげるにはどうしたらいいか、という他者への介入にやや興味がありそうです。
切り捨てない、価値がわからなかったからわかるまで教えるー共有する。
なるほど。
既にお読みかもしれませんが、山口周さんの「ビジネスの未来」という本の中で、こんな一節があります。
”「経済合理性限界曲線」の外側にある問題は、市場原理に頼っていたら、永久に解決されることはない。”
コニーがやりたいのは、「経済合理性限界曲線」の外側なのかもしれませんね。
私自身は、この外側にある社会問題の解決は、自分の能力的に難しいと判断し、諦めたことがあります。
社会問題の解決をビジネスにしようとした時、それはよほど力のある経営者でないと難しい。つまり、それは普通にやっては「お金になりづらい」。
https://www.learn-well.com/blog/2013/06/post_387.html
比企起業大学では、「経済合理性限界曲線」の内側にある問題解決を通じて、「分度を稼いで、余剰を推譲」できる人を増やしていけたらと思っています。そのため、外側の問題については扱わないので、ご理解くださいな。
●コニーからの返信
山口周さんの「ビジネスの未来」存じ上げていませんでしたので、また購入してみますね!「経済合理性限界曲線」、そういった概念があるのですね。そこまでの道を示していただいただけでもとてもありがたいです!自分で少し掘り下げたいと思います。
確かに、僕は社会問題の解決、というのは少し興味があるかもしれません。もちろん、比企起業大学では比企起業大学で学べるモノをせいいっぱい吸収していく所存ですので引き続きどうぞよろしくお願いいたします!
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コニー、ありがとう!